ShopifyでB2B顧客だけ価格を変えられる?方法と現実的な選び方

ShopifyでB2B顧客だけ価格を変えられる?方法と現実的な選び方

一般客とB2B・卸売顧客で価格を分けたい。Shopify標準機能でどこまでできるか、手動・Flow・アプリを含めた現実的な選択肢を整理しました。

この記事が当てはまるケース

小売価格とは別に、特定の取引先や卸売顧客には掛け率を適用した価格を案内したい。でも、同じストアに一般客も来る。そういった状況で「どうやって顧客ごとに価格を変えるか」に悩んでいる方向けの記事です。

  • 一般客と法人客が同じストアに混在している
  • 取引先ごとに卸値や掛け率が違う
  • ログイン済みの特定顧客にだけ別価格を見せたい
  • Shopify Plusは使っていない、通常プランで運用中

結論

通常プランのShopifyで「顧客ごとに価格を変える」ことは、標準機能だけでは完全には実現できません。ただし、方法がないわけではなく、顧客タグ × ディスカウントコード、価格変更アプリ、別ストア運用など、複数の現実的な手段があります。

どれを選ぶかは、「取引先の数」「価格パターンの複雑さ」「手作業をどこまで許容できるか」によって変わります。この記事でそれぞれの特徴と選び方を整理します。

Shopify標準機能でできること

標準機能の中で価格差をつけるために使えるのは、主に次の3つです。

  • ディスカウントコード:特定の顧客グループにコードを配布し、注文時に割引を適用させる。設定は簡単だが、コードを知っていれば誰でも使える。
  • 自動割引(Automatic Discount):顧客タグや購入条件に基づいて割引を自動適用できる。ただし、「この顧客タグを持つ人だけに〇〇円引き」といった設定は、割引の種類・条件によって制限がある。
  • 価格セット(Compare at Price):表示上の参考価格を変えることはできるが、ログイン状態によって価格を切り替える仕組みはない。

つまり、「ログインした特定の顧客だけに別の価格を表示する」という動作は、標準機能では対応していません。

標準機能だけでは難しいこと

標準機能で対応できない代表的なシナリオを挙げます。

  • 取引先A社は定価の70%、取引先B社は75%、というように顧客ごとに掛け率が違う
  • ログインした法人顧客にのみ卸価格を表示し、未ログインには小売価格だけ見せる
  • 同一商品に対して複数の価格リストを持ち、顧客ごとに自動で切り替える
  • 価格非表示(要問い合わせ)にして、法人顧客だけに案内する

これらはShopify Plusの「B2B on Shopify」機能では対応していますが、通常プランには含まれません。通常プランで運用する場合は、別の方法を組み合わせる必要があります。

手動・Shopify Flow・外部サービス・既存アプリなどの解決策

① 顧客タグ × ディスカウントコードの手動運用

最もシンプルな方法。B2B顧客にタグをつけておき、専用のディスカウントコードをメール等で案内する運用です。取引先が少なく、価格パターンが単純であれば現実的です。ただし、コードの管理・配布はすべて手作業になります。

② Wholesale・B2B価格アプリを導入する

顧客タグに連動して価格を切り替えられるアプリが複数あります。代表的なものとして「Wholesale Gorilla」「BSS: B2B & Wholesale Solution」「Wholesale Hero」などがあります。顧客がログインしたタイミングで価格が切り替わる仕組みを作れるため、運用上の手間を大きく減らせます。

ただし、多くは英語UIで日本語対応が不十分なものも多く、設定に時間がかかるケースもあります。月額費用($20〜$50前後)が発生するものが多いです。

③ 法人向けストアを別に用意する

一般向けストアとは別に、B2B専用のShopifyストアをもう1つ立ち上げる方法です。価格・商品・UIを完全に分けられるため、柔軟性は高いです。一方で、在庫・注文管理が2ストアに分散するため、運用負荷は増します。

④ Shopify Flowで注文後に価格調整する(補助的に)

Shopify Flowは価格表示そのものを変えることはできませんが、「特定タグの顧客が注文した場合に担当者へ通知を送る」「注文にメモを追加する」といった補助的な自動化には使えます。価格変更の代替にはなりませんが、手動確認フローの省力化には役立ちます。

⑤ B2Bアプリ(国内・日本語対応)を使う

国内向けのShopify連携サービスや、日本語対応の業務連携アプリを使う方法もあります。たとえば eing のアプリは、顧客タグベースでの価格管理や、社内向け通知連携に対応しており、手作業が多い小規模B2B運用に向いています。海外アプリと比べて日本語UIで設定でき、LINE WORKSやChatworkとの通知連携も可能です。ただし、機能の範囲は専用B2Bアプリより限定的になる場合もあるため、他アプリと比較したうえで検討してください。

各方法の違いと選び方

どの方法が合うかは、以下の軸で判断するとシンプルになります。

  • 取引先が5社以下・価格パターンが1〜2種類:手動運用(ディスカウントコード管理)で十分なことが多い
  • 取引先が10社以上・価格パターンが複数:B2B価格アプリの導入を検討する価値がある
  • 一般客と法人客を完全に分けたい・価格を見せたくない:別ストア運用か、アプリによるログイン制御が必要
  • 日本語UIや国内サービス連携が重要:海外アプリより国内対応アプリや eing のような選択肢を先に確認する

「とりあえず試す」なら手動運用から始めて、取引先が増えてから自動化を検討するのが現実的だと思います。最初からアプリを入れすぎると、管理が複雑になることもあります。

設定・運用上の注意点

  • 顧客タグの命名ルールを決めておく:「wholesale」「b2b」「vip」など後から混乱しないよう最初に統一する
  • ディスカウントコードの使い回し防止:コードが第三者に共有されると一般客にも適用されてしまう。顧客ごとにユニークなコードを発行するか、使用回数の上限を設定する
  • アプリ導入前にテスト注文を行う:価格切り替えがうまく動いていないと顧客に誤った価格で注文されてしまう。本番前に必ずテストアカウントで確認する
  • 税表示との整合性を確認する:B2B取引では税込・税抜の表示がずれると混乱が起きやすい。アプリや設定変更後は税表示も合わせて確認する
  • 複数アプリの競合に注意:価格変更に関わるアプリを複数入れると、割引の計算が重複したり、意図しない動作が起きることがある

まとめ

Shopify通常プランで「B2B顧客だけ価格を変える」のは、標準機能だけでは難しいのが正直なところです。ただ、取引先の数・価格パターンの複雑さによっては、手動運用や既存アプリで十分に対応できます。

まずは自分の運用規模を確認し、「取引先が少ないうちは手動で始めて、増えてきたらアプリで自動化する」という段階的なアプローチが現実的だと思います。Shopify Plusへのアップグレードは、そういった手段を試してからでも遅くはありません。